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下水道管路内での水質浄化 – 間欠接触酸化法 –

4月12日のブログでは下水道から熱利用している事例についてご紹介しました。

下水道の熱利用について | 有限会社有田産業WEBサイト有限会社有田産業WEBサイト (arita-sangyo.co.jp)

 

そこで、本日は下水道の管路内での水質浄化に関係する研究についてご紹介します。

KAKEN — 研究課題をさがす | 下水管路内浄化における間欠接触酸化の微生物相への影響 (KAKENHI-PROJECT-18K04405) (nii.ac.jp)

水質浄化能力を持つ下水管の開発 – 庄司 仁 –

WO2013172288A1 – 管路内浄化装置、及び、管路内浄化装置の接続構造 – Google Patents

 

下水道の管路内浄化はどういった研究かと言うと、

 

下水道管路内にスポンジを敷設することで、無曝気で下水中の有機物除去を行うというものです。

 

その技術は、”間欠接触酸化法”と呼ばれています。

Prof. Hiroyasu Satoh 佐藤 弘泰 教授 | 管路内浄化 | Satoh Sewer Lab (wwmlab.info)

 

この方法は微生物による有機物の貯蔵能力を利用して、微生物担体であるスポンジを下水と空気に間欠的に接触させることで有機物除去が可能となり、動力や機械による曝気を行わずに下水中の有機物を酸化分解する手法です。

 

本ブログのトップ画像に示すような、微生物担体を下水中に浸漬・干出を繰り返すことにより

1. 下水中に浸漬している時:微生物が下水中の有機物を摂取し貯蔵
2. 空気と接触している時:空気から供給される酸素を用いて蓄えていた有機物を酸化分解

という2つのプロセスを繰り返すことで、有機物を酸化分解することが可能になります。

 

この技術を活用することでどのようなことが期待できるかと言うと、

 

1) 下水の処理に伴い増加していくはずの汚泥量が一定量で抑制可能

2) 微生物担体表面に生成された汚泥の減少

3) 無曝気での汚泥減量

4) スポンジ以外の新たな装置が必要なく、維持管理が容易

5) 装置の簡単さから装置の追加・撤去をしやすく、将来の負荷変動に対応可能

 

このようなメリットがあります。

 

敷設された下水道管路を活用して、有機物の除去・汚泥の減量を行うことで、下水道の処理場の薬剤投与や維持管理コストの低減を期待される技術だと考えられています。

一方で、下水道管路内でこれらスポンジを敷いた後に、下水道管路内で行われている管路清掃や物理的なラード除去を行う際に、スポンジが耐えうるかどうかといった耐性試験、また下水道法の範囲内で敷設が可能なのかと言った法的ハードルもあります。

 

新技術の社会実装は様々な制約がありますので、それらを乗り越えて研究を進めていく必要があるのではないかと思います。

 

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