有限会社有田産業は、鹿児島県内で浄化槽の保守点検・清掃、下水道維持管理・産業廃棄物収集運搬を行う会社です。当社は、健康経営とデジタル技術の活用を両輪で推進し、従業員が心身ともに健康に長く働き続けられる会社づくりに取り組んでいます。

本記事では、当社が取り組んでいる健康経営の内容と、その効果についてご紹介します。

13.02h→3.73h
月あたり平均残業時間
(2025年度→2026年4〜8月)
94.4%
従業員アンケート回収率
(2026年5月)
100%
業務効率の改善を
実感した回答者の割合
(2026年5月)
0
就業継続意欲が
低下した従業員
(2026年5月)

取り組みの背景・目的

浄化槽・下水道・産業廃棄物業界は担い手不足が進んでおり、これまで紙ベースの管理体制や長時間労働になりがちな現場作業が課題でした。当社は「働き方の見直し」と「DXによる業務の見える化」を同時に進めることで、従業員が心身ともに健康に働き続けられる環境をつくることを目指し、健康経営に取り組んでいます。

自社の健康課題

2025年度の定期健康診断では、受診者14名のうち12名(85.7%)に体重・BMI・腹囲、血圧、血液検査項目、尿検査項目のいずれかで基準値外(有所見)が見られ、全項目が基準値内の従業員は2名(14.3%)にとどまっており、生活習慣病リスクの低減が課題となっています。また従業員全体の喫煙率は45%(20名中9名)で、全国の男性平均(約26%)の約1.8倍の水準です。ストレスチェックの集団分析結果では、総合健康リスクが93(全国平均100、業種平均97)で、うち「身体の負担」が38.9%と全国平均(18.9%)・業種平均(27.1%)を上回っており、これらの課題に優先的に取り組んでいます。

健康経営の目標(KGI)

上記の課題を踏まえ、2027年度末までに①定期健康診断の全項目が基準値内の従業員(有所見なし)を現状の2名(14.3%)から4名(28.6%)以上に増やすこと、②喫煙率を現状の45%(9名)から35%以下(7名以下)に低下させることをKGIとして掲げています。いずれも現状値を基準として、今後の健診結果・喫煙率調査と比較しながら進捗を確認していきます。

方針・目標・取り組みの対応関係(戦略マップ)

当社の健康経営の推進方針・目標(KGI)・具体的な取り組みのつながりを図に整理しました。(画像をタップ・クリックすると拡大表示されます)

健康経営 戦略マップ:推進方針から目標(KGI)、具体的な取り組みへのつながりを示す図

※画像が小さくて見づらい場合は、タップ/クリックすると拡大表示されます

方針目標(KGI等)具体的な取り組み
生活習慣病リスク・喫煙率の低減有所見なしの従業員2名→4名以上、喫煙率45%→35%以下(いずれも2027年度末)健診結果に基づく受診勧奨、達成者・健康維持インセンティブ、禁煙対策
働き方の見直し所定外労働時間の適正化、完全週休二日制の定着16:30退勤、副担当制度、IT点呼システム
心の健康の保持・増進ストレスチェック結果を踏まえた職場環境改善ストレスチェック集団分析、ハラスメント研修、社長直通相談窓口
仕事と育児・介護の両立両立支援制度の周知・活用促進35歳からの早期情報提供、両立支援担当者、ベネフィットステーション、先輩パパママ新聞

推進体制

代表と健康づくり担当者が、健康経営の施策を一体となって企画・推進しています。介護・育児の両立支援担当者を2名配置し、ストレスチェックの窓口対応も行っています。ハラスメントについては、外部の産業カウンセラー(かごしまメンタルキャリアパートナー)による研修を実施するとともに、ハラスメント規定を整備しました。社内掲示のQRコードから、いつでも社長に直接相談できる体制も整えています。また、2026年度には全国健康保険協会(協会けんぽ)鹿児島支部への健康宣言を行い、保険者とも連携しながら取り組みを進めています。健康経営の推進にあたっては、健康づくり担当者を中心に、事務部門・現場部門それぞれの従業員とも定期的に情報共有・意見交換を行いながら、実情に即した取り組みを進めています。

女性の健康保持・増進に向けた取り組み

女性特有の健康課題(婦人科系の疾患、生理、妊娠・出産、更年期等)に対応するため、外部の女性健康相談窓口を社内に周知し、いつでも相談できる体制を整えています。また、健康づくり担当者の役割に女性の健康分野への対応を加え、AIしのちゃんの週次クイズでもPMSや更年期、女性に多いがん等をテーマに取り上げ、従業員が正しい知識を得られるようにしています。

私病の治療と仕事の両立支援

従業員ががん等の私病の治療を受けながら働き続けられるよう、当社は治療と仕事の両立を支援する方針を掲げています。治療のために柔軟な働き方が必要な場合は、育児・介護と同様に時差出勤・短時間勤務・在宅勤務等の制度を利用できるものとし、主治医の意見をふまえながら本人の状況に応じた就業上の配慮を行います。

治療や体調に関する相談は、社内掲示のQRコードから社長に直接、または健康づくり担当者を通じて行うことができ、相談内容や治療に関する情報は本人の同意なく第三者に共有しない体制としています。

具体的な取り組み内容

  • 勤務時間の見直し2026年4月より16:30退勤・完全週休二日制を導入しました。
  • AIチャットボット「AIしのちゃん」自社開発のチャットボットで、週次で健康クイズを配信しています。従業員の健康リテラシーの向上と社内コミュニケーションの活性化に活用しています。外部サービスを使わず自社開発・自社運用としており、年間の運用コストは約7万円に抑えています。
  • IT点呼システム白ナンバー車両運転者のアルコールチェックを自社開発のシステムで記録・管理しています。基準値以上の反応が確認された場合は、直ちに再検査を実施し、必要に応じて医療機関の受診勧奨を行う体制としています。
  • 喫煙対策社内規程「喫煙に関する就業ルール」で、屋内に加えて会社車両内(移動中・駐車中を問わず)も全面禁煙と定めています。禁煙にチャレンジして達成した従業員、および健康診断で基準値外だった項目を改善した従業員(体重系は前年比3%以上の減少、血液検査・血圧・尿検査項目は基準値内への復帰)には、それぞれ達成者1名につきVISA5,000円分の金券を支給しており、達成者数に応じて予算を計上しています。あわせて禁煙外来の費用補助(上限1万円)も設けています。加えて、健康診断の対象項目(体重・BMI・腹囲・血圧・中性脂肪・γ-GTP・HDL・LDL・血糖・AST/ALT・尿蛋白・尿糖)がすべて基準値内で、喫煙もしていない従業員には、毎年VISA5,000円分の金券を支給しています。禁煙に取り組む人、健診結果を改善した人、健康な状態を維持している人のそれぞれを、公平に後押ししています。
  • ストレスチェック鹿児島県民総合保健センターに委託してストレスチェックを実施し、集団分析の結果を職場環境の改善に活用しています。
  • 介護・育児の両立支援介護保険制度に関する情報提供を、法定より5年早い35歳の時点から個別に実施しています。また、時差出勤・短時間勤務・在宅勤務の3つの働き方を新たに制度化しました。
  • 福利厚生サービス「ベネフィットステーション」の導入全従業員が利用できる福利厚生サービスに加入し、育児面では一時保育・ベビーシッター利用や保育料の補助、病児保育サポートを、介護面では介護補助金制度や介護相談デスクを利用できる体制を整え、仕事と育児・介護の両立を経済面からも後押ししています。
  • 「先輩パパママに聞くコーナー」社内報「先輩パパママ新聞」で、子育てと仕事を両立してきた先輩社員へのインタビューを連載しています。家事の時短の工夫や子どもとの向き合い方など、育児経験者ならではの体験談を社内で共有することで、育児中の従業員が気軽に相談・参考にできる雰囲気づくりにつなげています。

取り組みの効果

2026年4〜8月の残業時間は月平均3.73時間となり、2025年度実績(月平均13.02時間)から大幅に減少しました。2026年5月に実施した従業員アンケート(回収率94.4%)では、回答者の100%が業務効率の改善を実感していると回答し、就業継続意欲が低下したと回答した従業員はゼロでした。また、定期健康診断の受診率は100%(2025年度、対象者全員が受診)を維持しており、2025年度の労働災害件数は0件でした。

今後に向けて

現場の負担軽減と働きやすさの向上を今後も継続的に検証し、健康経営とDXの両輪でさらに改善を重ねていきます。現在、「健康経営優良法人2027」の認定取得にも取り組んでいます。