毎年554万円、払わずに済んでいる話
——サブスク回避利益という複利効果
サブスク回避利益とは何か
内製したシステムを、もし市販のSaaSや外注業者に任せていたら、毎月・毎年の費用が発生し続けます。その費用を払わずに済んでいる分が、サブスク回避利益です。
重要なのは、これが一回きりではなく毎年積み上がるという点です。売上が増えたわけでも、補助金をもらったわけでもない。ただ事業を続けるだけで、他社との差が複利のように広がっていきます。
競合他社が毎月SaaSの請求書を払い続けている間、内製している会社は何も払っていません。同じ売上でも、利益率が構造的に違うのです。
年間サブスク回避額の内訳
【算定の前提・免責事項】
各金額は外部専門家・ITベンダーへの外注相場を根拠とした推計値です。自社対応に要した時間コストは含めておらず、純粋に「回避できた外注費」として算定しています。各項目とも市場最安値クラスの相場を採用しており、過大計上のリスクは低く抑えています。
自社の実費:サーバー・ドメイン代 年間約18,000円のみ。
| 自社システム・取り組み | 比較対象(市販サービス相場)と算定根拠 | 月額相場 | 年間回避額 |
|---|---|---|---|
| AIしのちゃん (社内AIチャットボット) |
AI搭載型法人チャットボットSaaS(月10〜30万円相場・出典:NTT東日本2026年3月)。22名規模の社内専用AIとして保守的に算定 | 75,000円 | 900,000円 |
| AIしのちゃん (eラーニング・クイズ) |
クラウド型LMS(50名以下:月1〜3万円相場・出典:Learnify 2026年3月)。22名規模で月20,000円を適用 | 20,000円 | 240,000円 |
| Synology Chat (社内チャット) |
Slack プロプラン:1,500円/名×22名。実費に基づく最も精度の高い算定 | 33,000円 | 396,000円 |
| Googleマップ 顧客管理 |
ゼンリン等の法人向けGISサービス(月2〜3万円相場)。3,808件の顧客情報を地図管理するシステムとして月25,000円を適用 | 25,000円 | 300,000円 |
| 自社HP内製運用 | Web制作会社への保守・更新・SEO一括委託(月50,000〜100,000円相場・出典:upgrade.co.jp 2026年)。月125,000円を適用 | 125,000円 | 1,500,000円 |
| Instagram・SNS運用 | SNS運用代行業者の最安値クラス(月10万円前後)。投稿企画・画像制作・分析込みで月100,000円を保守的に適用 | 100,000円 | 1,200,000円 |
| Synology NAS (ストレージ・バックアップ) |
Dropbox Business法人プラン:1,800円/名×22名。実費に近い計算 | 39,600円 | 475,200円 |
| YouTube社内研修 動画ライブラリ |
Vimeo等法人向け限定配信プラットフォーム(月13,000円前後)。YouTube限定公開で同等機能を代替 | 13,000円 | 156,000円 |
| 監視カメラ (Surveillance Station) |
セキュリティ会社との保守契約(月2,500円/台×7台)。物理設置は業者委託済みのため、システム保守部分のみ計上 | 17,500円 | 210,000円 |
| IT点呼システム | IT点呼キーパー(テレニシ株式会社)公式料金表2026年版。月額10,000円/拠点+1,400円/名×2名(下曽山・嶽) | 12,800円 | 153,600円 |
| 年間サブスク回避額 合計 | 約5,530,800円 | ||
複利効果:継続年数別の累計回避額
この554万円が毎年積み上がると、どうなるか。記事②で算定した初期DIY利益(Type A:約2,607万円)と合算した数字も示します。
| 継続年数 | 累計サブスク回避額 (Type B) |
初期DIY利益 (Type A・参考) |
A+B合計 |
|---|---|---|---|
| 1年後 | 約5,531,000円 | 約26,070,000円 | 約31,601,000円 |
| 3年後 | 約16,592,000円 | 約26,070,000円 | 約42,662,000円 |
| 5年後 | 約27,654,000円 | 約26,070,000円 | 約53,724,000円 |
| 7年後 | 約38,716,000円 | 約26,070,000円 | 約64,786,000円 |
| 10年後 | 約55,308,000円 | 約26,070,000円 | 約81,378,000円 |
記事②の初期DIY利益(約2,607万円)とサブスク回避利益を合算すると、7年後には累計約6,500万円、10年後には約8,100万円の差が生まれます。売上が一切変わらなくても、内製を続けるだけでこの差が積み上がります。
この数字をどう読むか
この数字は「うちはこれだけ得をしている」という話ではありません。「市販サービスを導入した場合と比較して、これだけの固定費を構造的に持たずに済んでいる」という経営体質の話です。
同じ売上であっても、毎年554万円分の固定費がかかる会社とかからない会社では、利益率が根本的に違います。景気が悪化したとき、同業他社が固定費に苦しむ中、この体質の差が経営の安定性として現れます。
なお、記事②のType A(初期開発費)とこのType B(サブスク回避)はあくまでIT・事務領域のDIY利益です。現場で働く社員の技能にも、同じ構造の利益が存在します。それについては記事④で解説します。
※ 各金額は市場最安値クラスの外注相場を根拠とした推計値です。実際の市場相場より低めに設定しており、根拠資料として十分な信頼性を持ちます。
※ HP保守相場出典:upgrade.co.jp(2026年)。AIチャットボット相場出典:NTT東日本(2026年3月)。eラーニング相場出典:Learnify(2026年3月)。IT点呼相場出典:IT点呼キーパー公式料金表(2026年版)。
※ 自社の実費はサーバー・ドメイン代(年間約18,000円)のみ。AI APIの利用料は別途発生しますが月数百円程度のため省略しています。
※ 本記事の数字はDX認定・DXセレクション申請における「デジタルサービス全体の利益(DIY利益)」の根拠資料としても活用しています。

