毎年554万円、払わずに済んでいる話——サブスク回避利益という複利効果
DIY利益シリーズ ③ サブスク回避利益編

毎年554万円、払わずに済んでいる話
——サブスク回避利益という複利効果

事業を続けるだけで差が広がる、Type Bのしくみ
記事②で紹介したType A(初期開発費の節約)は、一回限りの節約です。しかしDIY利益にはもう一つの側面があります。内製したシステムは、会社を続ける限り毎年554万円分のコストを払わずに済んでいるのです。これがType B——サブスク回避利益です。

サブスク回避利益とは何か

内製したシステムを、もし市販のSaaSや外注業者に任せていたら、毎月・毎年の費用が発生し続けます。その費用を払わずに済んでいる分が、サブスク回避利益です。

重要なのは、これが一回きりではなく毎年積み上がるという点です。売上が増えたわけでも、補助金をもらったわけでもない。ただ事業を続けるだけで、他社との差が複利のように広がっていきます。

競合他社が毎月SaaSの請求書を払い続けている間、内製している会社は何も払っていません。同じ売上でも、利益率が構造的に違うのです。


年間サブスク回避額の内訳

【算定の前提・免責事項】

各金額は外部専門家・ITベンダーへの外注相場を根拠とした推計値です。自社対応に要した時間コストは含めておらず、純粋に「回避できた外注費」として算定しています。各項目とも市場最安値クラスの相場を採用しており、過大計上のリスクは低く抑えています。

自社の実費:サーバー・ドメイン代 年間約18,000円のみ。

自社システム・取り組み 比較対象(市販サービス相場)と算定根拠 月額相場 年間回避額
AIしのちゃん
(社内AIチャットボット)
AI搭載型法人チャットボットSaaS(月10〜30万円相場・出典:NTT東日本2026年3月)。22名規模の社内専用AIとして保守的に算定 75,000円 900,000円
AIしのちゃん
(eラーニング・クイズ)
クラウド型LMS(50名以下:月1〜3万円相場・出典:Learnify 2026年3月)。22名規模で月20,000円を適用 20,000円 240,000円
Synology Chat
(社内チャット)
Slack プロプラン:1,500円/名×22名。実費に基づく最も精度の高い算定 33,000円 396,000円
Googleマップ
顧客管理
ゼンリン等の法人向けGISサービス(月2〜3万円相場)。3,808件の顧客情報を地図管理するシステムとして月25,000円を適用 25,000円 300,000円
自社HP内製運用 Web制作会社への保守・更新・SEO一括委託(月50,000〜100,000円相場・出典:upgrade.co.jp 2026年)。月125,000円を適用 125,000円 1,500,000円
Instagram・SNS運用 SNS運用代行業者の最安値クラス(月10万円前後)。投稿企画・画像制作・分析込みで月100,000円を保守的に適用 100,000円 1,200,000円
Synology NAS
(ストレージ・バックアップ)
Dropbox Business法人プラン:1,800円/名×22名。実費に近い計算 39,600円 475,200円
YouTube社内研修
動画ライブラリ
Vimeo等法人向け限定配信プラットフォーム(月13,000円前後)。YouTube限定公開で同等機能を代替 13,000円 156,000円
監視カメラ
(Surveillance Station)
セキュリティ会社との保守契約(月2,500円/台×7台)。物理設置は業者委託済みのため、システム保守部分のみ計上 17,500円 210,000円
IT点呼システム IT点呼キーパー(テレニシ株式会社)公式料金表2026年版。月額10,000円/拠点+1,400円/名×2名(下曽山・嶽) 12,800円 153,600円
年間サブスク回避額 合計 約5,530,800円
年間サブスク回避額 約554万円/年 自社の実費:サーバー・ドメイン代 約18,000円/年のみ

複利効果:継続年数別の累計回避額

この554万円が毎年積み上がると、どうなるか。記事②で算定した初期DIY利益(Type A:約2,607万円)と合算した数字も示します。

継続年数 累計サブスク回避額
(Type B)
初期DIY利益
(Type A・参考)
A+B合計
1年後 約5,531,000円 約26,070,000円 約31,601,000円
3年後 約16,592,000円 約26,070,000円 約42,662,000円
5年後 約27,654,000円 約26,070,000円 約53,724,000円
7年後 約38,716,000円 約26,070,000円 約64,786,000円
10年後 約55,308,000円 約26,070,000円 約81,378,000円

記事②の初期DIY利益(約2,607万円)とサブスク回避利益を合算すると、7年後には累計約6,500万円、10年後には約8,100万円の差が生まれます。売上が一切変わらなくても、内製を続けるだけでこの差が積み上がります。

この数字をどう読むか

この数字は「うちはこれだけ得をしている」という話ではありません。「市販サービスを導入した場合と比較して、これだけの固定費を構造的に持たずに済んでいる」という経営体質の話です。

同じ売上であっても、毎年554万円分の固定費がかかる会社とかからない会社では、利益率が根本的に違います。景気が悪化したとき、同業他社が固定費に苦しむ中、この体質の差が経営の安定性として現れます。

なお、記事②のType A(初期開発費)とこのType B(サブスク回避)はあくまでIT・事務領域のDIY利益です。現場で働く社員の技能にも、同じ構造の利益が存在します。それについては記事④で解説します。

記事④:社員の現場技能にも「DIY利益」がある——見えないスキルを可視化して還元する経営

※ 各金額は市場最安値クラスの外注相場を根拠とした推計値です。実際の市場相場より低めに設定しており、根拠資料として十分な信頼性を持ちます。

※ HP保守相場出典:upgrade.co.jp(2026年)。AIチャットボット相場出典:NTT東日本(2026年3月)。eラーニング相場出典:Learnify(2026年3月)。IT点呼相場出典:IT点呼キーパー公式料金表(2026年版)。

※ 自社の実費はサーバー・ドメイン代(年間約18,000円)のみ。AI APIの利用料は別途発生しますが月数百円程度のため省略しています。

※ 本記事の数字はDX認定・DXセレクション申請における「デジタルサービス全体の利益(DIY利益)」の根拠資料としても活用しています。