浄化槽の維持管理費を補助する町があります4 – 静岡県富士市(下水道整備区域の見直しによる浄化槽の設置促進・浄化槽維持管理補助金も創設)
4静岡県富士市でも浄化槽維持費を補助しています。
具体的には、下水道整備区域の見直しによって浄化槽を設置促進し、浄化槽維持管理補助金を創設しました。
導入されたのは2010 年と10年ほど前ですが、
なぜ、そのような動きがあったかと言うと、
・下水道整備の中心が市街地から郊外へ移ることによって整備効率の低下が懸念されたこと
・経済活動の低迷による市財政の悪化していること
・少子高齢社会の急速な進行
このような社会情勢の変化などを踏まえて、下水道整備のあり方についての見直しや生活排水処理施設(下水道・浄化槽)の早期整備などが求められていたとのこと。
人口減少と経済縮小の止血を止めるために、政治と行政が先駆けて動いたケースです。
そのような背景から、富士市では、下水道区域と浄化槽区域の再検討を行いました。
検討後、482ha の区域は下水道よりも浄化槽による整備が効率的であると判断されました。
富士市生活排水処理長期計画 | 静岡県富士市 (city.fuji.shizuoka.jp)
それでは、下水道区域を縮小し、他事業に使える原資が捻出できたことでどのような施策を行ったのでしょうか。
一つは、「 浄化槽設置費補助制度の充実」です。
公共下水道事業認可区域外で浄化槽を設置する場合、元々設置費の 4 割を補助していましたが、さらに市の補助金を上乗せし、市町村設置型並みの補助金を交付しました。また、浄化槽設置費補助対象区域を「下水道整備が 7 年以内に早期整備できない区域」に拡大し、市費単独で設置費用を補助することとしました。
二つ目は、「 浄化槽維持管理費補助制度の新設」です。
転換後の適正な維持管理、特に保守点検・清掃をより一層徹底させるため、浄化槽法第 11 条検査において適正と判定された一般住宅の浄化槽に対し、市費単独で維持管理補助金を交付する新制度を創設しました。
浄化槽維持管理費補助金 | 静岡県富士市 (city.fuji.shizuoka.jp)
下水道計画区域が縮小されたことで、浄化槽整備及び維持管理補助の原資捻出が可能となり、浄化槽の設置も促進され、今後の社会環境を踏まえた市の判断が行われているのではないでしょうか。
浄化槽維持管理の補助金の額は、同一年度内において、浄化槽1基につき18,000円となっており、手厚いものとなっています。
20180520_富士市広報誌(city.fuji.shizuoka.jp)
さて、政府としては、2014年に持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル(以下、三省統一マニュアル)という基本方針を打ち出しており(素案は2001年に公表されている)、各都道府県・地方自治体はこの方針に沿った汚水処理計画を立てる必要があります。
↓こちらのブログでも述べましたが、三省統一マニュアルの大きな方針として、「これまで下水道の整備を前提とした整備方針から、地域の実情に応じて、浄化槽も合わせて活用する方針を明記したこと」があります。
かごしま生活排水処理構想2019 | 有限会社有田産業WEBサイト有限会社有田産業WEBサイト (arita-sangyo.co.jp)
しかし、鹿児島市はごみも含めた包括的な一般廃棄物処理基本計画のみにとどまっており、
鹿児島市一般廃棄物処理基本計画(平成28年度改訂版)|鹿児島市 (kagoshima.lg.jp)
調べた限りでは、鹿児島市は生活排水処理を具体的に10年以内にどのような整備方針で計画していくのか、打ち出されていないと思います。
三省統一マニュアルに基づいた必要性を「鹿児島市一般廃棄物処理基本計画(平成28年度改訂版)のp87で記載されていますが、具体的に生活排水処理整備を今後10年間でどのように概成させていくのか?その道のりや手段についてまでは公開されていないようです。
鹿児島県は2019年に三省統一マニュアルに基づいた生活排水処理計画を策定しましたが、鹿児島市もその策定が急務とされているのではないでしょうか。
ブログ首題の浄化槽維持管理費の補助については、日本全体の流れの中で補助を行う流れができつつあるので、
今後の行政の動きにも注目していきたいと思います。
★浄化槽維持管理費に補助がある自治体と汚水処理整備計画の有無
※ここで言う、汚水処理整備計画とは、2012年に政府が打ち出した「持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル」に基づいた汚水処理整備計画の事を指します。
①-1 神奈川県葉山町(R2.3.31 人口:32,889人 浄化槽人口 4,239人(大型・合併含む))※外国人を除く
神奈川県葉山町HP用人口集計(R2.3.1) (hayama.lg.jp)
◎葉山町は汚水処理整備計画策定済
①-2 福井県福井市(R2.3.31 人口:777,009人 浄化槽人口:34,206人)
市 町 別 汚 水 処 理 人 口 普 及 状 況 (令和元年度末)_福井市
△福井県は汚水処理整備計画策定済
福井県は汚水処理人口普及率向上に向けて早期に取り組んでいたため普及率は2025年には県全体で99%になる予定
福井市も恐らく策定したのかもしれませんが、ネット上で確認できませんでした・・・。
また判明次第更新したいと思います。
③兵庫県加古川市(R2.3.31人口:261,816人 H29.3.31浄化槽人口:9,269人)
◎汚水処理整備計画策定済
④静岡県富士市(H28人口:256,731人(外国人含む) 浄化槽人口:31,667人)
◎汚水処理整備計画策定済
富士市生活排水処理長期計画 | 静岡県富士市 (city.fuji.shizuoka.jp)
鹿児島市(R2.3.31 人口 :600,900人 浄化槽人口:86,500人)
△汚水処理整備計画 一般廃棄物処理基本計画の中で記載あり、具体的な整備計画はまだ?
ご質問、お問い合わせのお客様は、
099-266-0606
までお気軽にお問い合わせください!
鹿児島市・浄化槽保守点検(清掃)業者|鹿児島市 (kagoshima.lg.jp)
鹿児島県/浄化槽の維持管理 (pref.kagoshima.jp)
鹿児島県/産業廃棄物収集運搬業許可業者一覧 (pref.kagoshima.jp)
指宿市/一般廃棄物収集運搬許可業者・一般廃棄物処理業許可業者一覧
↓これまでの投稿を抜粋しました!
会社の取り組み
★グリストラップの清掃・維持管理について
グリストラップの維持管理 – 飲食店などで排出した油分や生ごみ・カスはグリストラップで集めて、廃油の抜き取り・清掃が必要です
★節水トイレとトイレの排水・配管、浄化槽との関係について
★浄化槽・下水道について ー 指宿市
★鹿児島県環境保全協会が行う浄化槽の法定検査について
定期検査(浄化槽法第11条)- 浄化槽の使用後に毎年1回行う検査
浄化槽 法定検査の検査内容 – 検査機関は何を検査してるの?
浄化槽の法定検査の検査手数料 – 検査の手数料は、浄化槽の規模(人槽)により異なります
民間の業者が定期的に点検しているが、検査を受けなければならないのか?
★民間事業者が行う浄化槽清掃について ー 鹿児島市
★民間事業者が行う浄化槽保守点検について ー 鹿児島市
浄化槽の保守点検 – 回数は浄化槽の種類・処理方式によって違います
★浄化槽を設置したいとき ー 鹿児島市
浄化槽を設置したいときはどうしたらいいの? -浄化槽設置届出書等の申請書 鹿児島市の場合
★浄化槽の補助金 ー 鹿児島市・指宿市
浄化槽を設置するときに補助金ってあるの?浄化槽の補助金交付制度 – 鹿児島市の場合
浄化槽の設置・維持管理費用ってどのくらい?補助金ってあるの?
浄化槽の維持管理費を補助する町があります – 神奈川県 葉山町/福井市etc…
合併処理浄化槽設置整備事業補助金 – 単独浄化槽から合併処理浄化槽に転換 -指宿市の場合
★既存浄化槽の撤去について ー 鹿児島市
浄化槽を撤去したいときはどうしたらいいの? – 建物解体等に伴う浄化槽撤去 鹿児島市の場合
★浄化槽利用上の注意
☆2020年の投稿のまとめ
☆2021年の投稿のまとめ